デンマーク、束の間の夏の幻影

デンマーク----- 英レスター大学や米国の調査機関ワールド・バリューズの調査で国民の幸福度が最も高いとされる国。「世界一幸福な国」の姿とは。

ルート: コペンハーゲン

 

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街に出て最初に出迎えてくれたのがこのカーニバルだった。

旅人の身の上の為、一体何のイベントだったかは知る由もなかったが、到着早々どこか歓迎をうけた気分になる。

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コペンハーゲンはデンマーク語で"København"、商人たちの港を意味しその起源は古代ローマ時代にまで遡る。主に都市としての機能を担いだしたのが1000年頃だそうで、以降1000年以上の時の洗礼を受けながら商業港、観光地としての発展を遂げてきた。

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12世紀に行われた街の要塞化により安全な港としての地位を確立し、街の名前の由来ともなった商人たちの港、コペンハーゲンは幾度かの戦火をもくぐり抜け現在でも欧州の主要港湾都市として知られている。

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 ニューハウン(Nyhavn)はコペンハーゲンの中で最も人気のある観光スポットと言っても過言ではない。特段何があるわけではないが港の一角に飲食店やアンティークショップなどが軒を連ねるその姿はどこか異国情緒を感じさせる。

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コペンハーゲンに来たら一度は飲んでおきたいのがこのビール"Carlsberg"だ。1847年創業のCarlsbergのビールは今や世界中で流通しているが、本場で味わう同社のピルスナーは何物にも代えがたい。何事も本場と生を体験するに限る。

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ニューハウンでのランチ。英国のフィッシュ・アンド・チップスを思わせるその味は、いかにも欧州の港町らしい。ちなみに、北欧の国々は充実した社会保障制度を備えている分、国民一人ひとりの負担も大きく、その為ご存知の通り物価が高いことで有名。デンマークもその例に漏れない。このランチも上のビールと料理で日本円にして3000円を超えていた。

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そしてコペンハーゲンと言えばこちらも。世界三大がっかりにも含まれている人魚姫の像である。ちなみに、こちら先のビール醸造会社"Carlsberg"の2代目社長カール・ヤコブセンがバレエ「人魚姫」に感銘を受け1913年にコペンハーゲン市に寄贈したものなのだとか。

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こちらは街中に聳え立つ円塔"Rundetaarn"。屋上にある展望台からはコペンハーゲンの街並みを一望できる。

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街の中心部にあるローゼンボー城"Rosenborg Slot"。王家の夏の離宮だそうで、庭園と共に今では市民憩いの場となっている。

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コペンハーゲンの植物園は一見の価値あり。特に何を見に行くというわけでもなく、近くを通りかかったら訪れてみることをお勧めする。規模としてはヨーロッパ最大だそうで、こちらはその中の一角を占める植物温室。

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温室の中は熱帯雨林を彷彿とさせる。

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モネの睡蓮の連作を思わせる植物園の溜池。いかにもヨーロッパらしい風景である。

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晴天の日の公園の一風景。

欧州の中でもドイツやフランスなどよりも更に北に位置する北欧の玄関口デンマーク。

夏は涼しくヨーロッパらしい青々とした空と眩いばかりに光を放つ太陽が美しい。しかし、この美しさを目にする為には暗く長い、そして厳しい寒さを伴う冬を越さなければならない。

短い夏を横臥すべく晴天とあらば陽の光を存分に楽しむのその様は、日常の中にあるごく小さな、しかし大切なことに喜びを感じる人々の姿を何よりも物語っている。

こうした日々の幸せの重なりあいが、この国の人々の人生に彩りを加え満足感や充足感を与えるのであろう。

世界一幸福な国。

そこにあったのは日々の中に幸せを見出すことに長けている人々の姿だった。